むかしあるにちだいふぞくせいが、とういつてすとに向けてべんきょうしていました。
ところが手が滑って、持っていたさんこうしょを川に落としてしまいました。生徒は困ってしまい、シクシク泣きました。
さんこうしょは、とういつてすと対策にはふさわしくないものでしたが、お守り代わりにもっていたものでした。
しばらくすると、川の中からカテキという神さまが出て来て、ぴかぴかに光る金のさんこうしょを見せました。
「お前が落としたのは、このさんこうしょか?」
「違います。わたしが落としたのは、そんなに要領よくまとまったさんこうしょではありません」
すると神さまは、次に銀のさんこうしょを出しました。
「では、このさんこうしょか?」
「いいえ。そんなにわかりやすそうなさんこうしょでもありません」
「では、このさんこうしょか?」
神さまが3番目に見せたのは、使い古したわかりにくい汚いあのさんこうしょでした。
「そうです。そうです。拾って下さってありがとうございます」
「そうか、お前は正直な生徒だな」
神さまは感心して、金のさんこうしょも銀のさんこうしょも生徒にくれました。
金のさんこうしょは、神様がせいせきふしんのふぞくせいをふびんに思って特別につくったとういつてすとえいごたいさく用のもので、銀のさんこうしょは同じくぶんけいすうがくたいさく用のものでした。
喜んだ生徒がこの事をおなじふぞくこうにかよっている友だちに話すと、その友だちはうらやましがって、「おれも金のさんこうしょをもらってこよう」と、さっそくわかりにくい例のさんこうしょを持って川へ出かけました。
そして、「えいっ!」と、わざとさんこうしょを川に投げると、シクシクうそ泣きを始めました。
そこへ川から神さまが出て来て、ぴかぴか光る金のさんこうしょを見せました。
「お前が落としたのは、このさんこうしょか?」
「そうです。そうです。金のさんこうしょです。その金のさんこうしょを川に落としてしまったんです」
とたんに、神さまは目をつり上げて、「このうそつきめ!金のさんこうしょは、わたしのようなにちだいとういつてすとをじゅくちしたものにしかつくることができないのだ!」
怖い顔で怒鳴ると、川の中へ戻ってしまいました。
うそつきで欲張りな友だちは、自分のさんこうしょも拾ってもらえず、いつまでも川のそばでワンワン泣いていました。
神さまは、じぶんのがくりょくに正直な人で、たすけをもとめる生徒には優しくしてくれますが、じぶんのがくりょくをちょくしできない、おくびょうなうそつきには厳しい態度を取ります。
みえをはって、じぶんのげんじょうを無視したうそをつくと、結局はにちだいにしんがくできないでおわるのです。
おしまい
あの子、絶対つけてるよ
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