今回は、問題Ⅴ会話文問題の解答手順をお話します。
本問では、登場人物が2名(AkiraとMary)います。
ある題材(例えば、平成23年度は「電子メール」、22年度は「携帯電話」、21年度は「ICカード」)につき、一方が肯定的な、他方が否定的な立場に立って発言しながら会話が進みます。
他の問題同様、本問も10分以内で解答しなくては時間が足りなくなります。
そこで、解答手順としてお勧めなのは、
1、選択肢1~8を読み、どのような発言かを確認する
2、選択肢から、何について書かれた文章かを推測する
3、問題文空欄の前後の文を読み、どの選択肢を入れるべきか考える。
判らない場合は、空欄のもうひとつ前後の文を読んでみる。
という方法です。
それでは、平成23年度の問題を例に考えていきましょう。
1、選択肢1~8について
正確に和訳できれば問題はありませんが、大まかにどのようなことが書かれているか把握する程度で構いません。
和訳については、清水書院刊「統一テスト問題と詳解」を見てください。
2、何について書かれた文章か?
選択肢3、5、6、8から「手紙関係」の文章だと何となくわかる程度です。
これで十分です。
3、選択肢の吟味
①空欄30
前文:誰もが全てに電子メールを使っている。
後文:電子メールは、私の生活を支配している。
これを読めば、本文が「電子メール」について書かれていることが判りますね。
それでは、当てはまる選択肢は?
容易に選択肢5の「毎日何時間もメールのやり取りに費やしている」が入ることが判るでしょう。
②空欄31
前文:昨日、ブラジルのエリザと電子メールを交換した。
後文:対照的に、電子メールはどこにメッセージを送るにせよ、数秒しかかからな い。
ここまで読むと、電子メール肯定派がメアリーで、否定派がアキラであることが判ります。
「対照的に(In contrast)」と言っていることから、電子メールと対照的な通常の郵便であると予測可能です。
そこで、選択肢8「普通の郵便なら、彼女に届くのに数日かかるだろう」が選ばれます。
ちなみに、選択肢8のwouldは仮定法現在のそれです。「Regular mail」という主語が条件となっています。
③空欄32
前文:電子メールは気持ちがこもっていない(味気ない)が手書きの手紙は気持ちがこもっている。
後文:電子メールは電気的な処理がしてあるから、保存が簡単で、すぐに呼び出せる。
前文のアキラの意見は電子メール肯定派の典型的なものです。
会話の流れは右の通りです:手書きの手紙は気持ちがこもっている→空欄32→保存が簡単かつ検索迅速
つまり、メアリーは、「電子メールには気持ちがこもっていない」をいう意見に正面から反論できないので、「保存が簡単かつ検索迅速」という電子メールの長所を新たに提出することで、電子メールを肯定しているものと読み取ることができます。
よって、「手書きの手紙は、保存が困難で、検索が難しい」をいう内容の選択肢を探せばよく、選択肢3の「でも、古い手紙やカードはどうやって保管するの(保管は困難で、探し出すのは面倒)」を選ぶことができます。
④空欄33
前文:(「電子メールは電気的な処理がしてあるから、保存が簡単で、すぐに呼び出せる」とのメアリーの意見に対し)確かに。
後文:電子メールの保存コピーに、将来悩まされることもありうる。
空欄33は、「電子メールは電気的な処理がしてあるから、保存が簡単で、すぐに呼び出せる」ことの利便性は認めながらも、当該利便性の不都合性を指摘した「でも、こうした簡単な保存はよくない点もある」と電子メール否定派からの意見選択肢4が入ることが判かります。
⑤空欄34
前文:電子メールは、あらゆる意思疎通の場面にふさわしいという訳ではない→ 一定の場面では電子メールの有用性を認めている→ 一定の譲歩
後文:(空欄34を受けて)解った → アキラの否定論に一定の譲歩
会話文の問題によくあるパターンですが、会話のお終いの方では、お互いの意見を主張しているうちに、相手の意見を尊重し始め、譲るような発言が見られます。
また、本問もそうなのですが、最後には何らかのオチがあります。オチは、本文とはあまり関係がやいので注意が必要です。
会話の流れは、電子メールは、あらゆる意思疎通の場面にふさわしいという訳ではない→ 空欄34:あるべき意思疎通の方法論 → メアリーも納得 、という具合です。
そこで、「私が言った通り、人々はその仕事に最もあった道具を使うべきだ」をいう選択肢2が選ばれます。
<まとめ>
以前も申しましたが、「10分かけて解答できなければ、それ以上かけても解答できる可能性は低い」ので、一つの小問や問題に拘泥せず、問題にかける制限時間を遵守するようにしてください。
蛇足ですが、日頃から現代社会の諸問題にアンテナを張ることにより、問題Ⅴのように意見が対立している問題を解答するのが容易になります。
例えば、「原発存続の可否」「社会保障費増減問題」等は、賛否の論拠がそれぞれ一理あり、白黒はっきり付けられない極めて政治的な問題です。
こうした問題につき、日頃から少しでも考えておけば、本問に役立つだけでなく、国語の得点力もアップするでしょう。
それではまた。
疲れた時には、音楽を