あついあつい夏の日のこと。
ありさんたちは、とういつてすとにそなえていっしょうけんめいべんきょうしていました。
みんなみんな、それはいっしょうけんめいべんきょうしていました。
そんなある日、一ぴきのキリギリスが草かげで楽しそうにうたをうたっていました。
「ありさんありさん。なんで君たちはこんなにあつい夏の日に
そんなにひっしこいて、べんきょうしているんだい?」
キリギリスは、ありさんをこばかにしたようなかんじでいいました。
「なにを言うんだ、キリギリスくん。今のうちにべんきょうしておかないとすぐにとういつてすとがくるんだよ。きみもうたをうたうのはほどほどにして、すこしはたんごでもおぼえておいたほうがいいよ。」
「ばかだなぁ。こうこうさいごの夏だよ。すきなことをして楽しまないとつまらないじゃないか。」
そう言うとキリギリスは、またうたいはじめたのです。
ありさんたちは さらにべんきょうしつづけます。
「かてきのおかげで、べんきょうも早くおわったね。」
「これで、あんしんしてとういつてすとをむかえられるね。」
「じしんがついたよ。」
「よかった、よかった。」
やがて夏はすぎ、秋がきて、そして、とういつてすとがやってきたのです。
つめたいゆきのふる中をぼろぼろのふくをきたあのときのキリギリスが、おなかをすかせてさまよっていました。
「さむいよ~、おなかがすいたよ~」
そのとき、キリギリスはいっけんのいえを見つけたのでした。
「あ~、あたたかそうないえだ・・・。あそこに行ってなにかたべるものをめぐんでもらおう・・・。」
まどから中をのぞいて見ると あのときのありさんたちが、たくさんのごちそうをまえに、楽しそうにごうかくしゅくがパーティーをひらいているではありませんか。
「ごめんください。おなかが すいて しにそうなんです。おねがいです。なにか たべるものを めぐんで くれませんか?」
「おやおや キリギリスくん。きみはあのときなんていったんだっけ?
あそんでばかりいるから、そういうことになるのさ。」
そういわれたキリギリスは、 夏の日にあそんでばかりいて、べんきょうしなかったことをたいへんはんせいし、にちだいにいけないくやしさで、大きななみだをながしましたとさ。
おしまい